頼るのが苦手なケアラーへ|迷惑でも責任放棄でもない「頼る」という選択

query_builder 2026/11/01
家族支援
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ケアラーさん、介護者さん、誰かを支える人、頼られることが多い人。
に共通するのが「頼ることが出来ない」ではないでしょうか。

ギバーとテイカーの話ではないですが、自分は「ギバー」であって、何かを受け取るとか持っているものを預ける立場ではない、みたいに思っていないでしょうか。

「頼らないことが自分らしい」かもしれない。
けれどケアラーが「頼る」を度外視すると色んな支障が起きてきます。

ケアラーらしい頼り方について、考えてみたいと思います。


1.ケアラーあるあるの一つ「頼れない」症候群

これは私の造語ですが、ケアラーは「頼れない症候群」ですよね。
この症候群の特徴は主に3つです。


  1. 自分に起きた出来事をおさめるのは「自分の役割」だと思っている
  2. 自分が取り組む・やり遂げることに意味がある、やりがいを感じる
  3. 頼ることは迷惑をかけることだと思っている
  4. 誰かに頼るのは自分らしくないからやりたくないと思っている
  5. 過去に人に頼ろうとして拒否・否定された経験があり忘れられない


つまり
「自分に起きた問題や困りごとは、自分自身で対処・解決するものだという意識が強く、他者の力を借りることに抵抗や罪悪感を感じてしまう状態」
ではないでしょうか。

この定義だけを見ると、責任感があり能力も高い理想的な人物という印象も受けます。
しかし問題は「自分自身のこと」ではない、ということです。
ケアラーに起きる問題・困りごととは、自分個人のことだけじゃないですよね。家族のことも含めて「頼らないで何とかしよう」とすることで、様々な支障が起きてしまうのです。


2.頼らない症候群が引き起こす問題

自分一人だけじゃない責任や困りごとを抱えつつも「頼らない」としたらどんな問題が起きるでしょうか。


①困りごと・問題がどんどん増えていく

困りごとや問題って、片付けたり解決したりしないと減らないですよね。
それを「自分一人で」やろうとするでしょう。
しかし自分の手に余る質や量だったりすると、片付けることは出来ないまま残り続けます。
そして日が経てばさらに増えていきますよね。


②手詰まりになる

頼る、というのは、実は問題解決のための手段の一つです。
自分では解決できないことに対して、勉強したり、工夫したり、スキルを高めたりするのと同じ、対策の一つなのです。
しかし「頼らない症候群」だと、そもそも「頼る」という手段が思い浮かびません。
手詰まりになるのが早いのです。


③自責感・無力感が高まる

山積みになる問題や困りごとを前に、ケアラーはどんな感情を感じるでしょうか。
最初はテンパったり焦ったり不安を感じたりするでしょう。
しかしこれは意外と一時的だったり、問題や出来事に直結して感じることが多いです。
それが積み重なった結果、自分で自分を責めて、自信を失ってしまいます。
「自分は頑張っても何も出来ないんだ、役に立たないんだ」と思い始めてしまいます。


④自分がパンクする

最初は「頼らない」選択をし続けたところから始まって、問題が解決するどころかどんどん増えていき、自分で自分に失望するようになると、それ以前同様の頑張り方は出来なくなります。
それでも毎日のタスクはあるし、問題も消えない。
自分の疲労や無力感もミックスされて、自分がパンクしてしまうのです。





3.「頼る」をケアラーらしく再定義する

頼る、とは、前項でもお話した通り問題解決の手段のひとつであって、責任放棄でも逃げでもありません。
それでも頼らない症候群の人は「頼る」ということ自体に抵抗があると思います。

なら、「頼る」をケアラーらしく再定義してみましょう。


①×迷惑をかける行為 ⇒ 自分の解釈に過ぎない

頼るのは相手にとって迷惑、と考えるのは、本当に迷惑をかけているのではなく、相手の心情を慮ったから出てくる感想ではないでしょうか。
または「他人に迷惑をかけるような人間だと評価されたくない」という思いもあるかと思います。
いずれも自分の「解釈」です。
解釈の対極は「事実」です。事実とはこの場合「私が自分で○○するのを、代わりに■さんに頼んだ」です。実際はこれだけなのです。


②×具体的な成果が無ければいけない ⇒ 抽象的・無形でも十分助けになる

「頼る」と言うと、具体的な手助けや援助が得られる状態を想像すると思います。だからこそ①の「迷惑では」という解釈も成立してしまいます。
しかし実際には、ただ話を聞いてもらうだけとか、相手の経験談を話してもらう、とかだけでも十分なのです。

「私だけじゃないんだ」
「私が辛いと感じるのは間違った感覚じゃないんだ」
「人それぞれ色んなやり方があるんだ」

と分かるだけでも問題解決の手段たり得るのです。


③×自分の責任放棄 ⇒ 「一人でやる」は責任の条件ではない

人に、特に家族以外の人に頼ることは無責任なのでは、と考えてしまうのも「頼らないケアラー」あるあるです。
家族のことは家族の中で完結すべき、それが家族としての責任だ、という覚悟かも知れません。
ただ、実際に家族ケアをしていて、本当に家族内で完結できるほど簡単な問題でしょうか。
家族としての責任は「家族だけで・自分だけでやる」ことではありません。
色んな責任の持ち方はあると思いますが、「家族でい続けること」こそが大事ではないでしょうか。





4.ケアラーらしい頼り方とは

今まで考えていた「頼る」を再定義した上で、では私たちケアラーが抵抗感なく出来る頼り方って、どんなものがあるでしょうか。
いくつか事例を挙げてみます。


①まず家族に頼る

頼らない症候群のケアラーは「一人でやろう」とする特徴がありますよね。それは他人に頼れないだけではなく、家族にも頼れないのではないでしょうか。
だからまず家族に頼ってみましょう。
それも一番頼れるのは、実は自分が支えている本人です。
支えている本人に頼ることができると、自分の問題解決に近づくだけでなく、家族自信のリハビリや自信回復にもつながります。また「自分だけが頑張っている」という思いも和らぎます。


②タスクや役割を割り振るより「気持ちの共有」から始める

具体的な行動や役割を自分以外の誰かに肩代わりさせようとするから頼らないし抵抗感があるし、迷惑をかけると思ってしまうなら、先に「気持ちを共有」するところから始めましょう。
そこで「頼る」ことへの抵抗感が下がり、自分の状況を共有できる相手が出来れば、また別の頼り方が出来るようになっていきます。


③「人」ではなく「機関」に頼る

私的な関係の中で誰かに頼るのは、身近な知り合いなだけにハードルが高いです。
例えば学生時代からの友人に、家族ケアに関する悩みを打ち明けたり頼ったりするのは、関係が二重になりそうで嫌だ、という方もいらっしゃいます。そのお気持ちはよく分かります。
そういう時には是非公的機関を頼ってみてください。市区町村以外でもNPOや家族会のような団体もあります。
代表的なのは「精神保健福祉センター」です。
都道府県に1か所以上設置されている精神障害に関する専門機関です。電話での相談も可能です。
公的機関なら運営は税金で賄われていますので、遠慮なく活用して欲しいです。





5.頼ることが出来る最大のメリットは「自分に自信が持てる」

困っているから必ず頼らなければいけない、とは、私は思っていません。
何を自分が頑張るか、によって自分で自分を支えることが出来るのも事実です。

ただ、端から「頼る」選択を除外してしまうのは勿体ないな、とも思います。
それは「頼る」という高位を狭い意味でだけ捉えているのかも、もし違う見方が出来たなら「やってみようかな」と思えるなら、それは確実にケアラーの力になると思っています。

そして何より、頼らない選択を続けた人が誰かに頼ることが出来た時、それは確実に人としての器が大きくなった証拠です。
頼ったことで自分に自信が持てるようになります。あべこべに聞こえるかもしれませんが本当です。

「私は頼らないで全部一人でやる、そうすべきだから」と思いつつ現状が苦しい方こそ、頼る選択を検討していただきたいと重いっています。


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