ケアラーの悩みを「問題」で終わらせない|自分がハンドルを握る「課題」という考え方
私たちケアラーは、常に生活・将来についての悩みや問題を抱えています。
ただ、この「問題」って、中身そのものではなく、
見方も影響してくるのではないでしょうか。
「問題」として見るか、「課題」として向き合うか。
この違いはどこから生まれるか、について考察しました。
1.「問題」と「課題」の違い
まずは言葉の定義ですね。どちらも「タスク」として考えれば同じ意味かもしれません。
でもケアラー役割から見ればもう少し意味が変わってくるのではないでしょうか。
「問題」とは、降ってわいた障壁のイメージです。
先へ進むのを阻むもの。外から想定外にやって来た何か。
「課題」とは、障壁ではありますが、もう少し前のめりです。
これをどう解決することが出来るのか、自分ならどうするか、どうできるか、と考えている。
つまり「問題」として見ている時、自分は受け身です。
「課題」として見ることが出来るのは、自分が主体になってる、ハンドルを握っている状態、と言えるのではないでしょうか。
2.問題として見ている時/課題として捉えた時
ではこの二つの視点が、実際に私たちの悩みをどう変えていくのか、を、事例を使って見てみましょう。
≪事例≫
療養中の家族が、1日中家の中で過ごしている状態が1ヶ月以上続いている
➊問題として見ている時
- 今朝も起きてこなかった。睡眠導入剤も飲んでるはずなのにどうして?
- もうずっとこんな状態だ。変える気はないのだろうか
- 仕事は休職中で、退職したわけじゃない。いつか戻るんだよね?
- あと○ヶ月で休職は終わるのに、このままでいいとでも思ってるの?
↓
不安、焦り、苛立ち
➋課題として捉えた時
- 朝起きてこないってことは夜眠れてないのかな。薬は効いてる?
- 私は昼間仕事してるから分からないけど、起きてる間何してるんだろう
- 何もしてないとして、何を考えているのかな。聞いてみよう
- 復職までに〇ヶ月をどう過ごすといいんだろう。悪化はさせたくないし…
↓
疑問、相談、懸念点の洗い出し
それほど大きく違わないかもしれません。
しかし「課題」として捉えると、ただ不安を募らせて「どうするの、どういうつもりなの、どうなっちゃうの?」を膨らませるよりは、「どうすることができるだろうか」という具体的思考に寄っていきます。
3.今の問題を「課題」として捉えるには?
では、自分の抱えている問題を、どうすれば「課題」として捉えることが出来るでしょうか。
ポイントは先ほどもお話したように、「自分がハンドルを握る」感覚です。
「問題と課題の違い」から考えてみましょう。
これも先ほどお話しましたが、「受け身」的捉え方か、「自分ならどうするか」という向きあい方をしているか、です。
どうしても受け身な捉え方になりがちですよね。それは当然です。だって自分の想定外の出来事によって生まれた問題なのだから。
とはいえ、想定外の事態なんていつでも起こりえます。全てを想定内には出来ない。
想定外でありながら「自分のタスク」として取り込んだからこそ、今あなたは悩んでいるのですよね。
なぜ、自分のタスクとして選んだのでしょう。それが自分の役割であり、選ぶことが責任だと思っているから、ではないでしょうか。
更に、そのタスクを自分の役割だと思ったのはどうしてでしょう。
「自分は、病気の家族に対して○○な人間として寄り添いたいから」のような「前提」があったから、ではないでしょうか。
『親身でいたい』とか『共感したい』とか『元気になるサポートをしたい』とか『ずっと楽しく生きていきたい』とか、そこはそれぞれです。
前提があり、そこから役割と責任が生まれ、その結果として想定外の事態による「問題」を「自分のタスク」として選んだ結果が、今の「悩み」です。
と、したら。
課題に転換するには、この「前提」を思い出すことがヒントになります。
例えば「自分は、家族に対して、自分自身に正直に向き合いたい」という前提があった場合。
先ほどの事例の『療養中の家族が、1日中家の中で過ごしている状態が1ヶ月以上続いている』状態で、どんな選択肢が思い付くでしょうか。
この思考になった時点で、問題は「押し付けられたもの」「不本意なもの」ではなく「自分がハンドルを握った課題」に変わっているのです。
4.課題として捉えると、家族への見方も変わる
問題、つまり受け身で現実と向き合っている時は、どうしても逃げ腰になります。
特にケアラーの場合は家族内の問題ですから、矛先は家族にも向けられます。「どうして私ばかりが悩まなければいけないの?」とも考えがちです。
この「自分ばかりが」という思考が既に「抱え込み」なんですよね。
そこを「課題」として、自分がハンドルを握った状態になってから現実と向き合うと、「自分一人が全部やらなきゃいけない」状態から離れることが出来るようになります。
自分以外の周囲の人たち・環境・条件が、「何もしないなにか」ではなく、「こちらが働きかけたら何かをしてくれるもの」と捉えることが出来るようになるからです。
例えば「全て自分が」と思っていたら、家族が何を考えて毎日を過ごしているのか、を聞くこともしないかもしれません。
朝中々起きてこない状況を「変えられない現実」と思ってしまうかもしれません。もちろん、ケアラーが直接変えられる問題ではありませんが、「次の通院日に先生に相談したら?」と伝えることは可能です。本人が同じことを考えていたとしてもいいのです。こちらが「朝起きてこられない、もしかしたら夜眠れていない、薬が合っていないのかも」という心配をしていることは伝わります。
問題を解決する、とは、何か奇跡が起きて一気に全てが雲散霧消することではありません。
まずは現実が変化することから始まります。変化させるために、自分が動くのです。
この「動き方」を、「どうすることが正解かわからないけど私がやらなきゃいけない」気持ちでやるか、「自分はこうなりたいと思っているからやる」のか、の違いが、「問題」と「課題」の違いではないでしょうか。
5.つまりケアラーの課題とは何か
一言でまとめるなら、「自分がハンドルを握る」ことです。
その為には、例えば病気が今後どのような変遷をたどって回復するのか、とか、その変遷(ステージ)に沿ってどんな選択・行動が必要か、それは自分だけで出来ることなのか、誰かに相談したり支援を受けることは可能なのか、など、様々な情報が必要になってくるでしょう。
しかしこれも「自分がハンドルを握っている」からこそ有効活用出来ます。
そしてハンドルの正体とは、今の自分の行動原理、つまり「前提」は何か、を思い出すことではないでしょうか。
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恵然庵(けいぜんあん)
所在地: 千葉県我孫子市
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