【Vol.10】不安が消えないケアラーへ|自分軸が不安を可能性に変える

query_builder 2026/08/18
家族支援自分軸
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ケアラーの毎日は不安の連続です。
家族の健康、生活、お金、将来、自分自身のことまで、考え始めれば次から次へと不安が出てきます。
一つ解決したと思ったら、また別の不安が顔を出す。だから「不安と向き合おう」と言われても、それだけではどうにもならないのではないでしょうか。


大切なのは、不安をなくそうとすることではありません。

不安によって「今のまま」を守ろうとする自分に、別の安定を与えること。
そのために役立つのが、ケアラー自身の「自分軸」です。


1.ケアラーは「不安」で構成されている

私たちケアラーは「不安」尽くしの毎日ではないでしょうか。もう私たち自身が不安で構成されていると言っても過言ではありません。


  • 生活への不安
  • 健康への不安(病気の家族、自分自身)
  • 将来への不安
  • 周囲の目への不安
  • リソース不安(自分が倒れたらおわり)


など、いくらでも出てくると思います。
これらは1つ対処してもまたすぐ次の不安が顔を出します。終わりがありません。
そして「不安から目を逸らさない」というのも難しいです。なぜならきりがないからです。


不安は一つや二つなら受け止めることも可能ですが、これだけ多テーマにわたって出現するなら、向き合うことの方が非現実的になるでしょう。


2.不安とは「不安定」:安定させるための「自分軸」

後から後から吹き出る不安。抑え込むと悪化し縛られ、向き合う余裕もない。
この状態のままだと八方塞がりですよね。不安は特に感情の中でも心身への影響力が大きいです。打つ手なしで放置すれば確実にストレス化します。

不安感が私たちにこれほど強い影響力を与えるのは、「不安定さ」を突き付け、意識させるからです。


人には「ホメオスタシス」という能力があります。良し悪しに関わらず「安定したい状態」を求めます。そしてこの安定とは「慣れたい状態を再現する」ことで果たそうとします。
自分が好き好んでいない状態であっても「慣れている」日常があれば、そこへ戻ろうとする。特に不安感が強い時は「慣れた状態へ戻ることで安定しよう」とします。

しかし私たちは、「今の慣れた状態」をこのままキープしたいわけではないですよね。

例えばうつの家族との生活が始まって数ヶ月、自分なりに「どう接すればいいのか」のコツが見えてきて、それに沿って生活すれば発症当初よりはストレスやすれ違いも無く過ごすことが出来るようになってきた、とします。
自分なりのやり方は分かった、何となくその生活にも慣れて来た。それすら分からなかった頃よりはきっと「まし」ない状態です。


しかし、これをずっと続けたいわけではないです。出来れば「うつ病なのだから」という特別な配慮や気遣いは少しずつ減らしたい。それによって今自分が抱えている負荷も減らしたいですよね。
だからそのために勉強したり自分がカウンセリングを受けたりして「どうすればもっと良くなるか」を考えます。そして実践しようとするでしょう。

ただ、やったこと無いことって、それだけで不安の種になります。更に上手く行ったとしたら「今までの慣れた安定状態」は変化する。変化した状態そのものはポジティブな状態なはずなのに、その手前の不安が行動を押しとどめてしまいます。
結果、不安が勝利し、「変わらない状態」が続くことになります。

この流れは身に覚えのある方は多いのではないでしょうか。
「今のままがいいと思ってるわけじゃないのに、何故か一歩が踏み出せない」
これは、不安感+ホメオスタシスがタッグを組んだ結果なのです。

では、ずっとこのまま変われない?
そんなことはありません。

不安感が「不安定さ」によって威力を増すなら、不安定さを減らす要素を追加すればいいのです。
それが、前回まで何度かお話させていただいた「自分軸」です。


3.不安と自分軸を混ぜるとどうなる?

では、ケアラーの不安と自分軸を混ぜたらどうなるでしょうか。事例を使って見ていきましょう。


【ケース】生活への不安

生活にまつわるケアラーの不安は、それこそ数えきれないほどあるでしょう。
一番は「お金」ではないでしょうか。
ご家庭の状況にもよりますが、「今すぐ生活出来なくなる、というわけではないけれど」でも今の状態が今後何年も続くとしたら、その不安は「今感じる不安」になりますよね。

不安は「不安定さ」から心は「安定」を目指します。慣れた安定状態、つまり「今までの生活へ戻ること」が出来れば、不安は消えるだろう、つまりそれが全ての問題解決につながる、と考えるかもしれません。
この時、ケアラーがどんな「自分軸」を持っているか、で、不安への向き合い方が変わってきます。

例えば「家族みんなで笑って過ごしたい」という自分軸があるとします。不安定さを落ち着かせるために必要なのは「慣れた過去」ではなく「家族みんなで笑たって過ごす状態」を「安定」として捉えるのです。
とすると、「皆で笑って過ごす」ために必要なものは何か、と、視点が切り替わります。それは必ずしも「過去回帰」ではないはずです。

不安から逃げる・打ち消す・感じないようにする、ではなく、「自分が望む未来を具体化させるための契機」として捉えることが出来るでしょう。


【ケース】健康への不安(病気の家族、自分自身)

家族の病気が全ての発端なのですから、健康への不安はついて回りますよね。
家族側の健康については主治医が居て治療が継続しているのですから、一旦はそちらに責任が移ります。
問題はケアラー自身の健康です。
ケアに専念しすぎるあまり、自分の心身のバランスが崩れた、という経験があるケアラーは少なくないと思います。私もそうでした。不眠、胸痛、胃腸の不調など、何かしらが続いていた時期がありました。
でもなぜか自分が病院へ行かなきゃ、とは思わないんですよね。余程酷ければ行ったのかもしれませんが、多少のことなら我慢します。
なぜなら「病院で病気と診断されたら終わる」みたいな不安があるからです。だから我慢する。事実を突きつけられることの方がデメリットが大きいから。

とはいえ、「自分が病気になったら終わる」のは、我慢しようがし無かろうが同じですよね。むしろ「早い時点で受診して、問題なしと言われるか何かしらの治療を受ける」ことで健康をキープするほうがメリットは大きいはずです。

なのでここでも「家族みんなで笑って過ごしたい」という自分軸があるとすれば、不安は逃れる・打ち消すものではなくて、「望む未来の確実性を高めるための準備」の一つを教えてくれるサイン、と捉えることが出来るでしょう。


4.「自分の軸」だから不安を可能性に変えられる

不安は、どうしたって感じている間は辛いです。不安を感じないようにするとか、「不安、ありがとう!」と思え、と言ったって無理です。だって辛いし、早く消えてほしいのが本音だから。
しかし向きあい方を間違えると更に炎上する性質ももっています。そうなれば自分はもっとしんどくなる。

だとすると、不安感に「自分軸」を絡めて安定させることで、「未来への可能性」に変換する、というのは如何でしょうか。

この「可能性への変換」は、自分軸だからこそ可能です。他人軸や「べき思考」では可能性にはなりません。
それは、「他人軸」や「べき思考」は、その理念しか分からない、「なぜそれが必要なのか」の根拠が分からないからです。分かろうとすれば自分なりに解釈するしかなく、それは結局「自分軸」を作るのと似たステップを経ることになります。
折角手間をかけるなら、借り物よりも自分だけの「軸」を立てて、不安感を可能性に昇華させましょう。




次回は「ケアラーが不安と向き合うためのセルフコンパッション」についてお話したいと思います。
お楽しみに!


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