【Vol.8】ケアラーの現実は変えられない。でも「意味」は変えられる

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家族支援自分軸
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前回(第7回)は、自分自身の評価軸を持つことで、現実の捉え方は変わる、そうするとケアラー自身も変わっていくんです、というお話をさせていただきました。
ケアラーの変化とは、すなわち「余裕」。一家の大黒柱のケアラーが余裕を取り戻すことで、生活そのものが安定します。

では、ちょっと戻って、そもそも私たちが向き合っている現実ってどんなものなのか、それと「自分の評価軸」をもって向き合うってどういうことなのか、を考えてみたいと思います。


1.家族が心の病になり、以前とは生活が変わった、という現実

まず一番の現実と言えば、家族が病気である、ということですよね。
病気になったのが伴侶であれ、親であれ、子であれ、生活そのものが変化する大きな出来事であることに変わりありません。

ここでは「伴侶が心の病になった」事例でお話させていただきます。

伴侶ということは大人ですよね。大人は家でも外でも大きな責任を負っている。
逸れのせいで病気になったともいえるけど、病気になったらそれ以前と同じように責任は果たせません。というかほぼゼロになります。


  • 仕事が出来なくなる
  • 収入が減る
  • ずっと家にいる
  • 家にいるけど何も出来ない
  • 通院、服薬、諸手続きも一人では難しい
  • 家にずっと人がいるけど、外から見たら「無人」状態


後半3つは発症当時だけかもしれませんが、この現実がいきなり目の前に降ってきます。そしてどうしたらいいのか分からないまま、どうにかしなければいけないのが私たちケアラーの「現実」です。

どうしたらいいか分からない、という問題の解決策が「自分の評価軸に沿って判断する」になりますね。
例えば「いつでも家族とは気持ちを共有していたい」という評価軸に沿って行動するなら、「まずは相手と話をしよう」という行動が生まれるでしょう。


2.「いつかは良くなる」と信じているが、その確証がない今の現実

病気になったら当然ですが病院へ行きます。そしてお医者さんから診断を受け、薬の処方などの治療を受けます。そこから長い治療が開始しますので、その先生は「主治医」になります。
治療を受けるのは病気を治すためです。だから当然「いつかは良くなる」ことが前提ですし、それに向けて治療が続きます。

最初は「数ヶ月様子を見てみましょう」と言われると、そこがゴールのように感じます。実際、それでゴール=回復する人もいるでしょう。


しかし中々これが難しい。思ったように薬の効果が出なかったり、副作用が辛くて飲めなくなったり、休養に入った反動で外出出来ず通院がストップしたりします。
治療だけ受けているわけじゃないから外部からの刺激も加わります。
うちの場合は夫の現職でした。会社の人事部や上司から連絡が入ります。会社の制度として必要だからかもしれませんが、ここで「またあの職場に戻るのか」という負荷で、安定しかけたメンタルが崩れたりしました。

何事も予定通りに運ばない。それが当時の私の現実でした。

とはいえ、「いつかは元気になるために」という思いは消えません。ただ、願っているけど確証がない。だからどこへ進もうとしているのか分からない。向かう先が分からないから、前に進んでいるのかいないのか、頑張っていることが役に立っているのか、自分のしていることは間違いじゃないのか、という不安がぬぐえません。

この時、自分の評価軸をもって向き合うとどうなるか。
「いつか良くなる」の「良くなる」がどんな状態なのか、を考え始めます。


  • 前の職場に復帰してフル勤務可能になる
  • 別の職場に転職し、そこで心機一転リスタートする
  • 夫婦の役割を見直して、本人が出来ることを任せる
  • 仕事とか役割とかは後で考える。まずは笑って毎日過ごせるようになる


とか、100の家族があれば100通りの「良くなった像」があるはずです。これを見極めることが出来ます。
そうすると、見えなくなっていたゴールが見えてきて、次に自分は何をすればいいのかも判断出来るようになります。


3.自分が必死になっても、病気そのものは変えられない現実

病気なのは自分の家族ですから、良くなるために自分に出来ることがあるなら頑張ろう! って思いますよね。
そしてケアラーは大人です。大人には経験も体力も知識もお金もある。だから出来ることがすごいたくさんあるんじゃないか、と考える。
そこへケアラーとしての責任感がプラスされるから、いつの間にか


『私が家族の病気を治すんだ!』


くらいの勢いになります。

ですが、色々やっても現実はそう大きく変わらない。
本で調べたりセミナー受けたり、時には直接主治医に相談したりして、どうすれば病気が良くなるのか、今以上に出来ることは何か、を考えるけど、実際にそれをやるかどうかの判断は、主治医と病気本人です。

例えばうつ病なら「日光に当たろう」「散歩しよう」とか言いますよね。だから外へ連れ出そうとします。しかしてこでも動きません。やりたくないわけじゃなくて無理なんですよね。そういう病気なのです。

私たちケアラーは、治って欲しいと切に願いつつ直接病気の進捗は変えられない。それが現実です。

では、自分の評価軸をもってこの現実を捉え直すとどうなるか。
「私は家族と一緒に笑って毎日を過ごしたい」という評価軸なら、病気を治すこと以外に出来ることを思いつきます。
少しでも安心させる、リラックスできる、些細なことで喜び合える。そのために自分は何が出来るだろうか、という視点が追加されます。


4.現実を変えるより先に、評価軸に沿って「意味」を変える

以上のように、目の前の現実自体は、私たちが直接手を下して希望する形にその場で変えることは困難です。
とはいえ、だからと言って放置も出来ないですよね。それこそ自分の不安感や違和感を我慢し続けるだけになります。

ちなみに不安感や違和感は、放置しないで向き合うことをお勧めします。
なぜなら、これらはあなたの経験から来る「サイン」だからです。
何かがおかしい、このままだと自分の評価軸からズレた未来がやってくるかもしれない、という懸念です。大事にしましょう。

話を戻します。
目の前の現実を直接変えることは出来ない。かといって放置も出来ない。


ならどうするか。
何かしらの働きかけをして、不安や違和感が低減するような方向へもっていきたいですよね。

なら、どうしたらいいか?
そのきっかけを得るための「自分の評価軸に沿った」判断なのです。

自分の評価軸に沿って現実を捉え直す。するとずっと見えてこなかった別の面が見える。その面から「今自分が出来ること」を探し、動き出す。
そうすることで間接的に現実を変える影響を与えることになり、かつ、自分の不安や違和感を薄めることにもつながるのです。


5.意味が変わると、未来への突破口が見えてくる

変えることは出来ない、と思っていた現実に別の「意味」を見出すことで、これまで考えてこなかったような行動を起こすことが出来るようになります。

そこからまた枝分かれして、色んな選択肢が生まれます。
更にずっとできなかったことにも手を付けられるかもしれません。
例えば誰かに頼ったり、相談したり、などですね。

そしてもっと進めば、支えている家族本人に頼ったり相談することも可能になります。それもお互い無理をしない形で、です。

ただ一方的に「支えるだけ」の関係だったのが、「支え合う」関係へ戻っていきます。
もしかしたらそれこそが、私たちが実現したい現実の入り口なのではないでしょうか。


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