【Vol.7】自信を持てないケアラーこそ知って欲しい「自分の評価軸」の意味

query_builder 2026/08/02
家族支援自分軸
画像8413
画像8413

前回(第6回)で、ケアラーが自分なりの評価軸を持つと、ケアのやり方も家族の生活も変わっていく、というお話をさせていただきました。


自分の評価軸が持てると、自分がどうしたいのかを考える習慣がついていき、それが発言や行動ににじみ出てきます。それによって選択決断によるストレスが減り、安心感や余裕が生まれます。過負荷にならずケアを続けられるから、次第に自分に自信を持てるようになります。


「私は自分の気持ちや考えを抑え込まなくていい、

むしろどうしたいのか、に沿って考えるほうが納得感をもって生活出来るんだ」


という心境を体験出来ます。
シンプルに言うと、自分なりの評価軸を持つことは、ケアラーに自信を持たせてくれるんですね。

では、どんなふうに自信を持たせてくれるのか。その流れを具体的に見ていきましょう。


1.ケアラーが自分に自信を持てないのはどんな場面?

➊家族の状態が悪化したとき

この「悪化」とは、医学的な悪化というよりも「波」ですよね。
日々の生活の中で上下する感情の揺らぎ。その「下がった時」だけケアラーは「私のせいだ」と考えがちです。
感情の揺らぎなんて日常的なこと。それを整えてあげられない自分はケアラーとして未熟なのだ、と考えてしまいます。


➋他の家族と自分たちを比べた時

他の家族とは、自分たち同様に心の病をもった家族がいるご家庭に限らず、それ以外の家族とも比較してしまったときです。
ケアラーは生活上の責任を背負っていると考えています。それは衣食住に限らず、ときに幸福感や満足度まで「自分の責任」と捉えてしまいます。


➌「もっと~すべきなのに」が実践出来ない時

ケアラーとして、大人として、妻・夫として、親として、家族として。
こうあるべき、すべき、という像から自分が遠ざかっている、ズレていると感じることがそのまま自己評価の低下につながります。


2.自分の評価軸があると、見方・捉え方が変わる

この3つの事例は、避けようとして避けられるものではありません。どうしたって起きるし、目につく。
避けられない事態なら、解釈を変えるしかない。
といっても無理やりポジティブ転換するのはお勧めできません。なぜならそれも「自分なりの解釈」ではなくなる可能性が高いからです。

自分なりの評価軸でこの3つを眺めると、どうなるでしょうか。


➊家族の状態が悪化したとき

「自分の対応が完ぺきではないのは分かってる。なら、次はどうしようかな」
「どうしてほしいか、まず本人に聞いてみよう」


➋他の家族と自分たちを比べた時

「いろんなケース、色んな家庭がある。同じじゃないのは当たり前」
「どうして羨ましいって思ったんだろう。それが分かると、自分達へのヒントになるかも」


➌「もっと~すべきなのに」が実践出来ない時

「教科書的な正解や理想は分かってる。それを元にアレンジすればいいんだよね」
「今出来なくても明日は分からない。今結論を出さなくていい」


こんな見方をするようになります。
これは事例ですが、共通点に気づかれましたか?
「私はどうしたいか」で考えているんですよね。
この「私はどうしたいのか」が、自分なりの評価軸の正体です。


3.捉え方が変わると、ケアラーはどうなる?

必ず起きるだろう不測の事態に対して「自分がどうしたいか」で対処できるようになると、私たちケアラーはどうなるでしょうか。

「こうあるべき」「私が~しなきゃいけない」「正しいやり方は?」ではなく「私はこうしたいから」で考える、とは、つまり物事の捉え方・見方が変わる、ということです。
捉え方や見方を変えると、物事の持つ意味が変わります。

例えば「他の家族と自分たちを比較したとき」。
今までなら「どうして自分たちはあの人たちにと同じことが出来ないのだろう」と「無いもの探し」に集中していました。無いものを埋めることが「正しいやり方」だと思っているからですよね。
それを「人それぞれ、家庭もそれぞれだから」と個別性を尊重する見方をすると、「よその家族」は「必要な場面で参照できる情報源」に過ぎなくなります。自分たちとくっつけて考えなくなる。切り離せる。
そうすると「あのご家族みたいにならなきゃ!」みたいな焦りや圧迫感が無くなります。

結果、「自分達らしくあればいい」と、余裕を持つことが出来るようになるのです。


4.ケアラーの余裕は、自分への信頼を生み、ケアを安定化させる

余裕って、自分の評価軸が無くても生まれることはあります。
外的な要素で、それは可能です。
しかしそれは「ラッキー」であり、予測不能、コントロール不能です。自分で作った余裕ではないからです。
次いつホッと安心出来るタイミングが来るか分からない。だから身構える、緊張する。そして余裕がなくなるのです。

心的な余裕を自分で生みだすことが出来れば、「次はいつ?」と未来に怯える必要は無くなります。自分でコントロールできるのですから。
すると行動や選択、思考、気分に自由度が生まれます。好きに振舞うことが増えていく。
好きに振舞えるのは「自分で余裕を生み出せる」と信じているから。つまり「自信」が高まるんですよね。

生活の中でコントロール可能な領域が増えれば増えるほど、ケアラーのメンタルは安定します。
すると、些細なことで不安感を高まらせることが減る。不安が高まったとしても、自分の評価軸で捉え直すことが出来るから暴走しない。

この繰り返しで、生活自体にゆとりが生まれます。
生活が、それを主で支えるケアラーが安定すれば、当然病気の家族との向き合い方も安定してくる。

主眼目だった「リラックスして安心できる環境でゆっくり過ごす」療養生活が実現するのです。





5.ケアラーの心の余裕が、ケア生活の質を高める

ケアラーが自分なりの評価軸で生きることの必要性を、ご理解いただけたと思います。
もちろんここで書いたのは、流れをざざっとご説明したに過ぎません。
皆さんそれぞれ、ご家庭それぞれで取り組み方や流れも変わってきます。

それでも、自分の評価軸を持つ意味は同じです。

ケアラーこそ、自分のためにも相手のためにも家族のためにも、自分の評価軸、つまり「自分軸」を持つことが重要なのです。


----------------------------------------------------------------------

≪完全オンライン対応≫

恵然庵(けいぜんあん)

所在地: 千葉県我孫子市

keizenan@gmail.com

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG