【Vol.13】ケアラーを苦しめる自己否定感。そのネガティブ感情に隠された意味

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メンタルケア家族支援
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前回の記事では、ネガティブ思考とネガティブ感情についてお話しました。


  • ネガティブ感情から目を背け続けることで、ネガティブ感情が強固になる
  • 無理にポジティブ転換しようとすると逆効果
  • ネガティブ感情・思考が生まれる過程は、実は自分の努力と戦いのプロセス

だから、ネガティブになるのは「自分がダメだから」ではなく、向き合い方が分からない、または慣れていないために起きた結果に過ぎず、自分が本当にダメなわけでも価値がないわけでもありません、とお伝えしました。

では実際に「ネガティブ感情と向き合う」とはどういう意味を持つのか、についてお話したいと思います。


1.ケアラーが最もつらいネガティブ思考・感情は「自己否定感」

ネガティブ感情ってたくさんありますよね。


  • 悲観、欲求不満、焦り、苛立ち
  • 圧迫感、不安、心配
  • 自責、挫折、失望
  • 怒り、憎しみ、孤独
  • 自己卑下、悲嘆、絶望、無力感


日々体験するものもあれば、さすがに「毎日」ではないものまで色々です。
そしてこれらは感情でありつつ、積み重なったり合体したり長く感じ続けることで「自分は○○な人間なんだ」という思考に育ってしまいます。


  • 自分は常に不安に振り回されている
  • 自分はどんなに望んでも願いを叶えることは出来ない人間だ
  • こんな自分は誰も理解されない、ずっと一人だ


特にケアラーの場合、感情も思考も常に「相手」が存在します。支えている家族です。
家族に対して、ケアラーは常に責任を持ち続けています。責任を感じている関係の中でネガティブな感情が喚起された時、自分自身のことよりもまず相手・周囲への影響に目が行きます。
そうすると、「責任をきちんと話せない自分」が原因に思えてきます。



ちゃんとやらなきゃいけないのに、やっているはずなのに
だけど思うように行かない、周りに迷惑をかけている
↓
それは自分がダメだからだ


という自己否定感に集約されていってしまいます。
ネガティブ感情で苦しんでいる自分を労わるどころか、自分を追い詰める思考ばかりが強化されていってしまうのです。


2.ケアラーは自己否定感から容易に抜け出せない

  • 「自分が悪い」
  • 「自分がダメだから」
  • 「自分に○○(努力、スキル、経験、才能、魅力)が不足しているからいけないんだ」


こうした自己否定が辛い・苦しいと訴えると、周りからはこんな言葉が返ってくるのではないでしょうか。


「あなたは悪くない」
「あなたは充分頑張っている」
「あなたには長所も魅力もたくさんある」


これもまた全て事実です。そしてケアラー自身も、この反論を全否定するわけではありません。
というより、自分がどれほど頑張ってるか、は、自分自身が一番よく知っているのですから。
なのに、自分を否定する言葉がとまらない。

その理由は、先ほども挙げた「自分が支える相手」の存在です。


自分は努力してる、100%悪いわけじゃない、それなりに長所もある。

けれどそれがどうした、事実として自分が支えている家族は今もまだ辛い状態のままじゃないか。

そこが変わらないなら、自分はやっぱり駄目な奴なんだよ。


こう考える流れが止まらないので、誰かに相談しても励ましてもらえても、自己否定感はそう簡単には払しょくできないのです。





3.ケアラーの自己否定感が持つ意味とは

どうしてここまでケアラーの自己否定感・自分を否定的に捉える見方は強固なのでしょうか。

先ほど「支える相手の状態が変化しないこと」を根拠にしました。となると、「家族が元気になってくれたら、今の自己否定感も消えるのか」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかしそれは非現実的ですよね。


だって私たちが家族の病気を治せるわけじゃないし、いつどうなるかの予測が難しいのが精神疾患ですから。
不確かなものを「よすが」にするとさらに苦しくなります。場合によっては「中々元気にならない○○(家族)が悪い」という考えすら生まれてしまうかもしれません。

どうしてこんなにケアラーの自己否定感は強いのか。
それはケアラー自身の「役割」をどう捉えているか、それによって自分にどんな「責任」を求めているか、ではないでしょうか。

先ほどの図にもあるように、ほとんどの苦しんでいるケアラーは「家族の問題は家族内でなんとかするべき」という考えを持っています。
これによって自分自身の役割を「家族の問題を自力解決できる人」と定義します。
そうなると「家族に問題が起きれば自分の責任、解決するのも自分の責任」と捉えるでしょう。
だから問題が思うように解決できなければ「自分の役割に沿って責任を果たすことが出来ない私は駄目なんだ」という結論に至ってしまうのです。

しかしそれは正しい判断でしょうか。
ひっくり返して考えてみましょう。そもそもの「家族の問題は家族内でなんとかするべき」というところに、無理がありませんか?

例えば家族内でちょっとしたすれ違いでケンカに至ってしまったとしたら、それはまず当人同士で話し合う必要があります。
しかし、今ケアラーが抱えている問題は、「家族内だけでなんとかすべき」というルールを適用するには大きすぎる問題ではないでしょうか。

頑張ってるのに、自分なりに「こうしたほうがいい」と思ってやっていることなのに、それでも常に自己否定感が薄れないとしたら。
それはそもそもの「前提」(「家族の問題は家族内でなんとかするべき」)がマッチしていないのでは? というメッセージではないでしょうか。


4.ネガティブ思考・感情が悪者なんじゃない。その意味を見逃さないこと

ネガティブ思考やネガティブ感情は、かなりの確率で悪者扱いされます。それは辛いから、苦しいから、不快だからですよね。
でも『感情の一つ』に過ぎないのも事実です。感情とは無意味に生まれるものではありません。どんなものでも何かしら意味を持っています。更に言えば自分の経験や深層心理からのメッセージです。



「本当はもっと大事にしたいものがあるんじゃないの?」
「こっちの選択肢でいいの? 本当に? 後悔しない?」
「言いたいことがあったら言っていいんだよ。ずっと我慢してきたじゃない」



こうした言葉を伝えようとしているのが感情です。特にネガティブ感情です。

ネガティブ感情や思考によって苦しんだり疲れたりストレスを感じるなら、それはまた別の方法で癒してあげましょう。そのために趣味とか好物とか休日があるのです。
ネガティブが発するメッセージは見逃さない。
そしてそうすることで、不思議とネガティブは弱まっていきます。私たちにメッセージを伝える、という使命を果たしたから。

自分と家族をもっと良い方向へもっていきたいなら、尚更自分のネガティブが持つ意味を見逃さないようにしましょう。


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