【Vol.16】ケアラーが「言いたいことを言えない」のはなぜ?「でもね」の先にある本音

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家族支援
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「いつもありがとう」「頼りになるよ」と言われたら、素直に「ありがとう」と返すのが普通なのかもしれません。
でも、なぜかそう言えない。嬉しいだけではない何かが引っかかって、言いたいことを飲み込んでしまう。
ケアラーには、そんな場面が少なくありません。

それは、言いたいことが分からないからではなく、「でもね」の先にある本音を口にすることへの抵抗感があるからかもしれません。


今回は、ケアラーが言いたいことを言えない理由と、その抵抗感の正体について考えてみます。


1.言いたいことと違うことを「言うべき」と思っている


「いつもありがとう」
「頼りになるよ」
「これからもよろしくね」



こんなこと言われるのは、きっと珍しいことではないのではないでしょうか。
こう言われることを期待してやってるわけじゃない人ほど、こんな感謝や賞賛を向けられることが多いです。

一見すれば褒め言葉ですよね。あなたを責めてなんかいない。言葉通りならこちらも「ありがとう」と返す場面かもしれない。

けれど、「ありがとう」を返すのが苦しいのではないでしょうか。
苦しい、スムーズに肯定出来ない。
だけど「この場面は、相手の言葉を肯定して受け入れるべきだ」とは思ってる。
だから「そうだね」「頑張るよ」「ありがとう」と返事をするでしょう。

でもそれはあなたが本当に言いたいこと、つまり「本音」ではないのではないでしょうか。


2.言いたいことが分からないわけではない

「いつもありがとう」「頼りになるよ」「これからもよろしくね」

ケアラーが毎日やっていることは、他者から見れば「ありがとう」な行動ばかりです。
けれど私たちは、すんなりと「ありがとう」が出てこないときがある。

それは、本当に言いたいことではないから。
本当に言いたいことは別にあるのに、言えないんですよね。

どうして言えないのでしょう。
何を言えばいいのか分からないわけではないのでは?
相手の言葉を肯定するのが辛いということは、否定、とまで行かなくても違和感がある。

「ありがとう、でもね……」

って感じですよね。
この「でもね」の後が大事。
なぜなら「でもね、~~~なんだ」があなたの本音です。
けれど飲み込んで言葉にしないままだと、誰にも伝わらない。
他人からすれば

「大変そうだけど頑張ってくれる頼りになるすごい人」

であり続けます。だからずっと頼りにされ続ける。
頼られてる間「でもね」の続きを飲み込み続けたら、「でもね」の先が肥大し続けるのです。


3.言いたいことを言えない、その抵抗感がストレスの正体

ではなぜ、「ありがとう、でもね」の続きが言えないのでしょうか。

言語化出来ていないから?
もちろんそれもあります。でもそれほど不明瞭でもないのでは。
状況や考え方にもよりますが、多くは

『私だって元気じゃない、大丈夫じゃない、不安だらけなのに』

が近い感じではないでしょうか。
このままストレートに伝えられる相手ばかりではないから、相手や状況に合わせて表現を調整することは必要ですね。
でも私たちが無理やり「でもね」を飲み込むのは、そんな些細な問題のせいではないと思います。

「でもね、不安だよ、辛いよ、大丈夫じゃないんだよ」を口にすることへの抵抗感があるから、ではないでしょうか。

この抵抗感が、毎日頑張り続けることへのストレスにもつながっているのです。

頑張ること自体がストレスなわけじゃない。頑張らなきゃいけないタイミングなのは誰よりも分かってる。
でも、「楽々・自信満々に・ポジティブ100%で」頑張ってるわけじゃありません。
さらに、「楽々・自信満々に・ポジティブ100%で」頑張ってるわけじゃない自分に対する自己否定、不満、無力感、失望もある。
もっと言えば「楽々出来ることじゃないって、想像すれば分かるでしょ。でもどうして誰も分かってくれないの」っていう周囲への不満もあるのではないでしょうか(私はそうでした)。

この四つ巴が抵抗感となって、言いたいことを言えなくしているのです。



4.言いたいことを言えない抵抗感と向き合う

周囲にどういう言い方をすればいいか、より先にやるべきことがあります。
この抵抗感と自分自身がどう向き合うのか? という問題です。
多分ここを放置したまま言い方だけ考えても、またそれに対する相手の返答でモヤッとしてしまいます。
相手があなたをモヤつかせてるわけじゃないのに、「どうして分かってくれないの?」な不満が高まる恐れもあります。別のストレスが増えるようなものです。

だから先に自分の抵抗感の正体を突き止めましょう。
やり方は色々ありますが、私がカウンセリングでよく使う方法は「どうして?」を繰り返すやり方です。



例えば『毎回夫の通院に付き添っていることを、主治医の先生に褒められた。でも100%嬉しいとは思えなかった』としたら。


  1. 「先生に何て言われたの?」→『先生は夫に「頼りになる奥さんで安心ですね」って言ってました』
  2. 「どうして100%嬉しいと思わなかったの? その時感じた感情は何だろう、怒り? 不安? 不満? 寂しさ? 戸惑い?」
  3. 「その感情をあなたの言葉で表現したらどうなる? 台詞調で言ってみようか」
  4. 「その言葉を、誰に一番言いたい? 主治医? ご主人? 他の人?」
  5. 「その言葉を肯定されたらどう感じる?」


正解はありません。掘り下げるだけ。何回掘り下げればいいか、の回数制限もありません。
でもどこかで、「そうか!」って感じることがあります。そこが抵抗感を受け入れた瞬間です。


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