手詰まり感はなぜ起きるのか|視野を狭める「回避」の仕組み
「もうやれることは全部やった」
そう感じるほど頑張っているのに、問題が解決しない。何を試しても変わらず、むしろ疲弊だけが積み重なっていく。
そんな「手詰まり感」に苦しんでいませんか。
ですが、その感覚は本当に「完全な行き止まり」なのでしょうか。
実は手詰まり感の裏では、「できることがない」のではなく、無意識の「回避」によって視野が狭くなっている場合があります。
今回は、その仕組みについて整理していきます。
1.やりつくして「もうできることがない」手詰まり感
課題や問題、悩みがあるときは、手を尽くしてその対策を考えます。
そして実践する。
最初はやりやすいことからが多いでしょう。
それが効果がなければ、手間がかかったり難しいことも試す。
自分の中では
「こんなことまで試すのだから、きっと解決する」
という期待が盛り上がる。
けれど想定・得られなければならない結果にはならなかった。
「やりたくないことまで頑張って挑戦したのに」
腹立たしいし、途方に暮れるし、無力感も高まります。
けれど問題はまだ目の前に残っている。
「もうこれ以上出来ることはないのに……」
と頭を抱えることでしょう。
ですがその手詰まり感、本当の「手詰まり」でしょうか。
2.やりつくしたように見えて、実は視野が狭くなっている
自分で思いつく限りの対策を挙げて、実際にやってみた。
だけど効果がなかった。
疲れたし気持ちは挫けてしまうでしょう。
『やるべきことはすべてやった』
こう感じていますよね。
たとえばこれが仕事で上司からの指示だったら、場合によっては担当者を変えてもらうとかの対策もあるでしょう。
でも自分の人生においての重大事だったら。
他人に変わってもらうことができない問題だったら。
『やるべきことはすべてやった、でも駄目なんだからもういい』
とは中々考えられないですよね。
その状況でも他に何かないか、と考えたいはずです。
この「やるべきことはすべてやった」は、実は本当の「すべて」ではありません。
自分が見えている中での「すべて」です。
つまりあなたが見ていないところ、もっと言うと「見ようとしないところ」に、まだ「やりつくしてない何か」があるのです。
あなたの手詰まり感の正体は、本当にもう手がないのではなく、視野が狭くなっていることなのです。
<おすすめコラム>
リフレーミングで“ダメな自分”を卒業する:自分軸を取り戻す6つの思考習慣
3.手詰まり感の裏にある、自分が回避しているもの
自分が見えていないものがある、というのも、中々実感しづらいと思います。
以下の図を見てください。
実はこんな感じなのです。
無意識に
・見ようとしない
・考えようとしない
・最初からやりたくない
部分がある。
だから実は『やりつくして』はいないのです。
ではなぜ、このような死角が生まれるのでしょうか。
先ほどの「見ない」「考えない」「やりたくない」という気持ち。
これが「回避」です。
過去の経験から
- 「これは危険だ、傷つけられるかもしれない」と判断したもの
- 自分の限界を超えて感情が揺さぶられる可能性があるもの
- 見たくない自分(能力がない、弱い、醜い)と向き合わなければいけない可能性があるもの
と判断したものを、人は無意識に回避します。
無意識ですから、そもそも検討対象に入りません。
だから自分では「やりつくしたのにダメだ」という、今の手詰まり感につながるのです。
4.回避することを土台に組み上がっているあなたの「今」
自分が避けたい、見たくないと無意識に線引きしている「回避エリア」。
これは問題解決の対策を立てるときの検討範囲に含まれないだけではありません。
それ以外の思考や判断、行動にも影響を及ぼしています。
それは、あなたにとっての「当たり前」、つまり前提も、「回避」するものはすっぽ抜けて作られています。言い換えれば、あなたの普段の生活は常に特定の何かを回避して成立しているのです。
それ自体は悪いことでも間違ったことでもありません。
あなたの「当たり前」は、あなたにとって価値があるものを土台に作られています。
価値があるものとは「回避」とは逆ですよね。
では、回避しているものは本当に自分にとって価値がない、必要のないものなのでしょうか。
そう聞かれると「……うーん」ってなりますよね。
回避しているなにかは確実にある。
だけどそれが本当に自分にとって必要ないものとは断言できない。
だから「回避」の括りに入っているのです。
これは真に自分にとって害・無用なものではないのです。
見方、光の当て方、使い方によっては、今の手詰まり感を打開するための材料が眠っている部分なのです。
5.問題解決か、回避継続か
今向き合っている悩みは、「目の前の問題を解決すること」ですよね。
その為に山ほど案を出して、それを実践してみた。
でも解決しなかった、効果がなかった。
今までやってきたことは自分が見えている、価値があると感じている部分での挑戦です。
そこで手詰まりなら、残る「回避層」に目を向けるしかありません。
ただ、「じゃあやってみるか」とならないのが、これの難しいところです。
先ほども言ったように、それを回避しているのにも理由があるからです。
- 「これは危険だ、傷つけられるかもしれない」と判断した
- 自分の限界を超えて感情が揺さぶられる可能性がある
- 見たくない自分と向き合わなければいけない可能性がある
つまり自分にとっての脅威です。そう簡単に向き合えるものでもない。
ここは一旦問題解決そのものから離れて、心の準備ができていることをチェックしながら進みましょう。
➊通常時の心の安定は保たれているか
↓
➋ストレスを感じた時、それを和らげたり解消する方法が確立しているか
↓
➌やばい!と思ったときに撤退できる習慣がついているか
6.まとめ
手詰まり感に陥ると、人は「もう方法がない」と感じます。
ですが実際には、「見えている範囲の中でやりつくした」だけであり、無意識に避けている領域が残っていることがあります。
それが今回の「回避」です。
回避しているものは、単なる怠けや逃げではありません。
傷つくかもしれない、不安定になるかもしれない、自分の弱さと向き合わなければいけないそうした脅威を感じるからこそ、人はそこを見ないようにします。
だから「回避層」に触れることは簡単ではありません。
無理に踏み込めば、さらに心を消耗することもあります。
大切なのは、「問題を今すぐ解決すること」だけを目的にしないことです。
まずは自分の心の安定を整え、ストレスを緩和する方法や、危険を感じたときに撤退できる感覚を持つこと。その土台があって初めて、これまで避けていた部分にも少しずつ目を向けられるようになります。
本当の意味での手詰まりは、「まだ見えていないもの」が完全になくなった時です。
今のあなたは、まだそこではないのかもしれません。
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