自分事として捉える
家族がメンタル不調を抱えたとき、周囲は心配するし、悩みます。
出来ることは何かないか、それは家族が、ということもあるし、本人が、ということもあるでしょう。
その時、中心にいる本人が自分事として捉えていない、というケースも少なくありません。
こんな時、どう対処すればいいでしょうか。
1.病気の本人が自分事として捉えないのはどうして?
一つは変化した現実や自分の状態を受け止める準備が出来ていない、ということもあるでしょう。
病気になったばかりの頃は、急激に色んな事が出来なくなる自分に対して本人が一番動転しますし不安や恐怖を感じます。
すぐに「自分は病気なんだ、治療しなきゃいけない、病気でも自分の責任は果たさなければいけない」と考えられる人は稀です。
自分事として捉えないことで弱ったメンタルを守ろうとしているのです。
また、症状の一つとして思考力が落ちていることもあります。特にうつ病などはそうでしょう。何かを感じたり考えたりすることを「精神活動」と呼びますが、これが著しく低下するのもうつ病の症状の一つです。
手助けを求められない性格ゆえに、自分事に出来ない、という人もいるでしょう。
「何とか良くなりたい、社会復帰したい」と明言すれば助けてくれる人がいるにも関わらず、それを信じ切れない、頼るのが怖いと思ってしまう。
自分事として捉えることでSOSを出さなければいけなくなる事態を回避しているのかもしれません。
2.家族の対応はどうなる?
本人の次に色んな事が出来たり代理の決定権を持つのが家族です。特に配偶者や親には大きな責任を求められます。
とはいえ、本人がどうしたいか、または何を辛いと感じているか、が分からなければ、家族と言えど手を出せません。
例えばどうしても家から出ない、という家族がいる場合。
「脚が動かせないから」という理由が分かれば、とりあえずはそれへの対処が可能になります。
しかし出られない理由が本人も分かっていないことが少なくありません。
分からない、と言っても周囲が納得しなければ、それも同じことです。病気ではない人から見れば「何の理由もなく家から出られないはずはない、何か必ず理由があるのだろう」と考えてしまうからです。
理由が分からないことを受け入れてもらえなければ、論点を変えることもあり得ます。
「別に家から出なければいけない理由はないよね」と。
するとここで問題の本質が切り替わってしまいます。
本質がずれてしまえば、更に解決からは遠のいてしまうでしょう。
3.家族にも限界がある
それでも家族は「どうにかしたい」と考えますよね。
近しい関係であればあるほど、自分への影響も大きいし、純粋に本人のことが心配ですから放っておけません。
かといって、すべての外部の人間が思うほど、家族は万能ではありません。
赤の他人よりも家族のほうが本人を理解しているし話がしやすい、といっても、厳密には家族も「他者」なのです。
例えば妻が夫を、夫が妻を、親が子を、兄が弟を「どうにかしてあげたい」と思ったところで限界があるのです。
この葛藤が、状況が長引くほどに家族側のストレスになってしまうのです。
4.家族が出来ること・出来ないことを切り分ける
もちろん自分事として捉えられていないからと見捨てることは出来ませんし、その必要もありません。
しかし心配しつつも出来ることには限りがあります。
- 家族が出来ること
- 家族では・家族でも出来ないこと
を切り分けて、双方で了解しておくのも一つの方法です。
あくまで目的は線引きであって、「誰が責任を持つのか」という押し付けではありません。
家族だけが全部を抱え込む必要はないし、本人に対して自己責任を求めるのでもありません。
それでも「自己決定」の権利は犯せません。
5.家族が出来ることとは
一つは「見過ごす」「見守る」の両立です。
傍から見れば「そのままだとちょっとまずいことになる」と分かるようなことをしているかもしれません。
無謀なお金の使い方をしていたり、現状では続けられなそうな求人に応募したり。
しかし「自分事として捉えていない」場合、その行動の結果どうなるか、が本人には見えていません。見えていないのに「○○になるからやめなさい」と言っても本心から納得は出来ないでしょう。
あえて本人の意思に任せてみる、というのは、自分事として捉えるいいきっかけになります。
結果として吉と出るか凶と出るかは、家族の側にだって分からないのですから。
二つ目は「Iメッセージ」で、自分事として受け止めるような説明をすることです。
大人はつい「あなたは○○だから△△をしなければいけない」と言う話し方をしてしまいますが、これは言われた側にはお説教にしか聞こえません。
I(アイ)メッセージは「私はこのままだと○○の状態になりそうで心配だ」と、自分の気持ちを中心にして話してみましょう。
三つ目は家族内のルール作りです。
どんな時も助けてくれる家族がいる、というのはとてつもなく大きなストレングスです。これに勝るものは無いと言ってもいいくらいです。
しかし状況によってはストレングス(強味)ではなく、逃げ場になってしまう可能性だってあります。
逃げ場は、自分が弱ったり傷ついたりしている一定期間だけ使うなら癒しの場です。しかし傷が癒えているのに逃げ場にい続けていれば、自分の力や自信が目減りしていきます。
本人との十分な話し合いの上でルールを決めて、そこから外れた時はルールに沿って本人に穴埋めをしてもらいましょう。
6.家族は「自分事にし過ぎない」
逆に家族側は領域を踏み越えて自分事として抱え込もうとしてしまいます。
「自分だったらこうしている・出来ているだろう」という自負もあるかもしれません。
しかし本当に自分のことをやるのと、本当は他者の問題なのに自分が抱え込むのとは全く違います。
どこかで限界やストレスを感じてしまい、場合によっては矛先が本人へ向いてしまうでしょう。
強い責任感と家族への思いやりが、行き過ぎた結果として不和に繋がるのはとても悲しいことです。
家族だからこそ、自分事にし過ぎないよう、気をつけましょう。
≪完全オンライン対応≫
恵然庵(けいぜんあん)
所在地: 千葉県我孫子市
keizenan@gmail.com
NEW
-
2026.10.11
-
2026.10.08ケアラーの悩みを「問...私たちケアラーは、常に生活・将来についての悩み...
-
2026.10.03「自分を知る」と、判...ケアラーの毎日は、責任を背負う判断と選択の毎日...
-
2026.09.28言いにくい相手に、言...前回は、「「言いたいことを言えない」のはなぜか...
-
2026.09.20【Vol.16】ケアラーが...「いつもありがとう」「頼りになるよ」と言われた...
-
2026.09.15【Vol.15】ケアラーが...「自分の限界なんて、とっくに分かっている」と思...
-
2026.09.10【Vol.14】ケアラーが...ネガティブ感情は怖いです。いやです。感じたくな...
-
2026.09.03【Vol.13】ケアラーを...前回の記事では、ネガティブ思考とネガティブ感情...
CATEGORY
ARCHIVE
- 2026/103
- 2026/095
- 2026/086
- 2026/076
- 2026/065
- 2026/054
- 2026/044
- 2026/035
- 2026/024
- 2026/015
- 2025/125
- 2025/114
- 2025/107
- 2025/099
- 2025/088
- 2025/079
- 2025/0610
- 2025/0512
- 2025/0416
- 2025/0310
- 2025/024
- 2025/014
- 2024/125
- 2024/114
- 2024/106
- 2024/095
- 2024/088
- 2024/075
- 2024/064
- 2024/054
- 2024/046
- 2024/035
- 2024/026
- 2024/017
- 2023/128
- 2023/119
- 2023/109
- 2023/099
- 2023/0813
- 2023/0718
- 2023/0618
- 2023/0518
- 2023/0418
- 2023/0319
- 2023/0224
- 2023/0116
- 2022/1215
- 2022/114
TAG
- うつ病
- カウンセリング
- 睡眠
- スキルアップ
- 心の病
- ストレス
- 発達障がい
- 環境
- コミュニケーション
- 仕事
- 自己肯定感
- 自己分析
- 福祉制度
- 生活習慣
- 心理学・福祉用語
- メンタルケアラー
- 社会復帰
- リフレーミング
- 課題の分離
- セルフコンパッション
- 心理的安全性
- セルフケア
- 家族の役割
- 認知の歪み
- 共倒れ
- 回復
- 寛解
- 再発予防
- 相互理解
- 解決志向
- 心得
- 共感
- 共感疲労
- 体験談
- 心のケア
- 支え方
- 心がしんどい時
- ストレスケア
- 距離感
- ネガティブ感情
- 感情コントロール
- 助けを求める
- 頼る力
- 心のSOS
- 成功体験
- モチベーション
- 自己受容
- 自分軸
- 接し方
- 自分と向き合う
- 共依存
- 自己開示
- 自責思考
- 頑張り過ぎる
- 罪悪感
- 優しさ
- 甘え
- コミットメント
- 自己尊重
- 心の声
- 承認欲求
- 自己否定
- 自信
- 自分らしさ
- 意思表示
- アサーション
- 孤独
- 自分を守る
- 優先順位
- 人と比べる
- 他人の気持ち
- べき思考
- 愛着障害
- 過去の経験
- 人に合わせる
- 適応
- 自己理解
- 視点を増やす
- 感情を受け容れる
- ストレングス
- 自己矛盾
- 自己決定
- 問題解決
- 正解探し
- 他人の目
- 役割
- 自己犠牲
- うつ病の回復
- RAS
- 境界線
- コンプリメント
- 気持ちの切り替え
- 自分を責める
- 一人で抱え込む
- 弱音
- 一人で頑張る
- 頼らない
- 決められない
- 自立する
- 自分の変化
- 価値観
- 理解されたい
- 不安を落ち着かせる
- 正しいやり方
- 焦り
- タスク消化
- モヤモヤ
- 評価されない
- 停滞感
- 自負心
- 手詰まり感
- 回避
- 普通
- 義務
- エンパワメント
- 無力感
- サステナビリティ
- 不安
- 報われない
- 頑張る意味
- 違和感
- 評価軸
- 自分の気持ち
- 現実
- ネガティブ思考
- 自分の限界
- 言いたいこと
- 言いにくい
- 自分を知る
- ケアラーの課題
- 利己主義